いつもご覧いただきありがとうございます。しらすサラダです。
この度、私にとって初めての展覧会(個展)を行いました。まずは、お越し下さった方、ご協力くださいました方へ感謝申し上げます。ありがとうございました。
展覧会情報【終了】
展覧会名:VAMRSS展/ヴイエーエムアールエスエス展
日時:2023年3月18日から2023年4月1日(休廊日:水)
場所:ギャラリーカメリア(東京:中央区銀座 奥野ビル 5階)
展覧会を開催するにあたり、VAMRSSという作品群はどういったものなのか、過去にどのような作品があるのかを知っていただくために、過去10年間のVAMRSSの作品を一冊にまとめた作品集を制作しました。
今回はその作品集の紹介とメイキングです。
きっかけは、この展覧会をお声をかけていただいた作家さんから「今までの作品を紹介する冊子を作ってみては」とお話をいただいたことです。いつかは作りたいと思っていた作品集ですが、なかなか重い腰は上がらず、目的もなかったので取り組んできませんでした。展覧会というきっかけをいただいたのでよし作るかと立ち上がりました。
制作した作品集をご紹介します。合計で438ページのA4判の大型本です。
分厚くとても重い本です。
2013年から2023年の10年間で選んだ100作品が収録されています。
本の構成は、各作品の図版がメインです。
作品によってはメイキングの記録写真を収録しました。
巻末には各作品の解説文を記載しました。
構成自体はとてもシンプルです。大きな写真をお楽しみ頂きたいと思っています。
ちなみに、制作しようと動き始めた際、考えていたのが、「1つの作品に1枚の紙」をテーマに、作品数=ページ数の冊子を制作予定でした(写真:プロトタイプ)。私にとって、もっと大きく作品をご覧いただきたいという気持ちと、100作品揃ってもたったの100ページ。本にすると50枚の紙の冊子にしかならないことから、少し地味かなと思い方針を変えました。
ページ数はとりあえず青天井。図版に関しても見せたい物はとにかく取り入れ、特に見せたいものは両開き2ページ分まで引き延ばしという心意気で方針を定めました。しかし編集作業が40%程進んだ時点で印刷限度のページ数を超える予測となったため、図版数を絞り始めました。とりあえず、ページ数を抑えることでひとまず完成できました。行き当たりばったりな編集作業でした。
メイキング
収録作品の選定
まずは取り入れる作品を選定します。そのために選定する条件を決めました。
条件としては、記録が残っていることです。写真に関しては印刷に耐えうるデータが存在していること、グラフィックに関しては元のデータが存在していること、写真などの記録がないものは、作品自体が残っていること(後で撮影できれば良い)です。
一通り、条件に合う作品をエクセルへリストアップします。
各作品の図版を整理するためのフォルダ作成後エクセルとリンクさせながら、過去のデータを整理しました。
特に古い作品は、今まで使用していたHDDを引っ張り出し、データを救出しました。HDDが動いてよかったです。
レイアウトやデザイン
本文のレイアウトやデザインを考えます。使用したソフトウェアはinkscapeです。illustratorのフリー版という立ち位置のソフトウェアです。特に愛用しているソフトウェアの一つです。
DTPの知識や技術がありませんし、時間もないため、できれば最も慣れているソフトで入稿データを制作したかったのでinkscapeを選びました。なので、そのソフトウェアが対応できる形式で入稿できる印刷屋さんを探し、最終的にはpdfファイルで入稿を受付してもらえる印刷屋さんを選定しました。
印刷屋さんが決まりましたので、その印刷屋さんの入稿ルールを把握したうえでデザインを制作します。
デザインは編集のしやすさを兼ねてシンプルにしました。
入稿データは印刷屋さんのルールで完成時のサイズから周り3mmずつ大きく余白をとったデータを制作します。(画像:白色がデータのサイズ、ピンク色は実際のA4サイズ)
綴じ方は無線綴じなのでノド(本を開いた時の内側)付近の綴じ代を調整して編集します。
編集しやすいように、ルールを決めた上でテンプレートファイルを制作します。このテンプレートファイルを使用して作品毎にファイルを制作しました。
写真や画像などの図版とともに、一つの作品の初めのページにタイトルなどのデータ類を記載します。
その作品の終わりに作品番号を記載する構成にしました。
ちなみに、取り入れる図版は解像度とサイズをあらかじめ反映させたデータを作っておきます。inkscapeへ画像を取り込む際にサイズの変更の必要がなくなり、編集作業が少しだけ楽になります。画像の変換に使用したソフトはAdobe Bridgeを使用しました。一括で指定のサイズや解像度へ変換できるので、この作業自体の負担は感じません。
作品毎のファイルの制作が終わり、作品リストのエクセルに所要ページ数を記録し、該当作品のページ数を導き出します。
作品毎のファイルに戻り、ページ数を記入し、最後にPDFデータに起こします。ひとまず図版ページは完成です。
作品概要
作品集の巻末に各作品の概要を載せるため、文章を考えます。
文章が決まり、編集します。文字だけのページなので、読みやすくするためにページの上部分に余白を持たせるデザインとしました。
とりあえず形になりました。
その他のページ
図版や作品概要ページ以外も仕上げます。
目次や挨拶文、表紙や背表紙、裏表紙、奥付など様々な要素がありますので、デザイン含めて編集を行います。
どういった要素があるか把握していませんでしたが、展覧会の図録を集めるのが好きなので、参考文献がたくさんありスムーズに制作することができました。
表紙は、当初から表示したい作品(作品集を制作する上のコンセプトの作品)が決まっていたので、その作品をメインに配置しました。
ちなみに、本の内容などのデザインが概ね決定した際に、サンプル本を制作しました。その目的は写真の大きさや文字の大きさ、位置や紙質などを実際の本で確かめるためです。その際に制作したサンプル本の表紙(写真:一番上の本)が今ひとつでしたので、もっと派手にした方がいいかなと思い、表紙のデザインをやり直しました。
デザインのやり直し後はメインの作品である「印刷完了書」(という名前のグラフィック作品)を中央に配置し、VAMRSSのロゴを最大限に大きく、また「作品集」の文字も最大限に大きく表示するために縦に配置したデザインとしました。
配置のバランス的に、「VAMRSS」と「作品集」の文字の高さを揃えるため、「作品集」の文字は潰れた文字になりました。
その際に、「集」は横線が密集してしまったので横線を一本取り除きました。それでも読めるのが文字の認識の面白いところですね。
背表紙には同じロゴタイプを使用しました。
裏表紙は、表紙のデザインを踏襲し反転させました。
奥付もしっかりと記載しました。概要文のチェックや展覧会において大いに協力していただいたのでスペシャルサンクスとしてお二人のお名前を記載させていただきました。
入稿時はPDFデータを直接アップロードし待つだけとなります。ページ数が多いだけあり緊張しました。本文で2.48GBもあり1ページ抜けていたら悲惨なことになります。
本が納品され完成です。とても良い作品集ができました。
最後に
展覧会で販売いたしました作品集は、想像を遥かに超えるご反響をいただき、初めにご用意していた分は会期の半分で完売、増刷に増刷を重ねましたが完売となりました。
本当にありがとうございました!
最後までご覧いただきありがとうございました。