いつもご覧いただきありがとうございます。しらすサラダです。
今回は新聞を作りました。といっても一面の1/4だけですが。
新聞って不思議ですね。見ただけで「新聞」だとわかりますもの。それにはきっと、見た目に何かしらの新聞”らしさ“があるのでしょう。
新聞には見た目だけでもたくさんの要素があります。見出しや題字、レイアウトや書体とか。今回は、それらの要素の新聞らしい部分を見つけて、最後に一枚の新聞のようなものを作ってみます。
この記事では「新聞を作ってみたい。」「新聞を作ってみたけど、見た目をもっと近づけたい。」と思った方へお役になれればいいなと思います。
実際に新聞を作っている方がいらっしゃいましたら、優しい目で見てください。
新聞の要素
まず、新聞にはどのような要素があるのか挙げてみました。
・題字
・見出し
・本文
・写真
・レイアウト
・その他事務的なもの
・紙
では、ひとつひとつの要素を考えてみます。
題字
題字は題号とも言うそうです。新聞のタイトルになります。どこそこの新聞を指定して購入する際に、まずはこのタイトルを見ますね。
まずは、題字をイメージしながら何例か作ってみました。
題字には、文字、背景、枠という要素があります。
文字のデザインは星の数ほどあります。新聞の題字のイメージを浮かべてみると、思いつくのは「毛筆体」ですね。あとは、「装飾文字」です。
新聞=明朝体のイメージですが、不思議と題字には向かないかもしれません。それは、明朝体が多い新聞の中に、毛筆体や装飾文字がちょっとしたアクセントとして機能しているからだと思います。
余談ですが、新聞の「新」という字は横棒が一本多いバージョンを見られますが、これは、字源的に「辛」と「木」を合わせたものが偏になっているのでそれはそれで合ってるという見方だそうです。
題字の背景のイメージとしては「細かさ」があると思います。加えて言うと、「絵」というより「柄」です。上図のように何かがびっしりと書かれている柄や、横線だけの柄など「細かさ」が出ていますね。昔の新聞は凸版印刷ですので、このような線画が合理的だったのかなと思います。
題字の枠は、絵画の額縁と同じように装飾するためのものです。しかし、枠はシンプルなものが多いようです。文字を際立たせるためでしょうか。
背景にも枠があります。(上図の黄色線部分)その外に大枠という構成です。背景の枠によって背景が締ります。
見出し
見出しには記事を読んでもらうため、人を引き付ける力が必要です。そのため、目立たさせることが重要です。
見出しのデザインは様々ありますが、特にルールはないようです。
一つだけ気になる点は、見出し内にふりがなを付ける場合に、見出し内の余白はふりがなを含めてとるのが新聞でよくみられます。(そちらのほうが新聞っぽさがあります)バランスは悪くなりますが、新聞制作現場の専門のソフトウェアを使用しての見出しを作る場合はそれが仕様なのでしょうか。あとは、新聞内のサイズ関連で使用される単位(「倍(ばい)」)がありまして、文字と見出し枠のサイズの兼ね合いでいろいろあるんでしょうか。深すぎてわかりません。詳しくはJISX4051の「日本語文書の組版方法」を読んでみてください。そして教えてください。
本文
本文は、説明するまでもなく新聞のメインになります。
今回は「見た目」を重視しているので、文章の書き方などについては触れません。といいますか、ノウハウがたくさん詰め込まれているので、文章が苦手な私には想像がつきません。
新聞の本文の文字は独特です。横長で少し縦につぶれた文字という特徴があります。
主に縦書きで、少しでも多く文字を入れ込む、かつ、読みやすさを重視するために、文字を小さくする以外の方法で工夫された文字でしょう。
新聞の文字(書体)はそのために作られたものですが、パソコン内で持っている書体からどうにかして真似する方法を考えてみました。
まずは書体。これは明朝体ですね。今回は「HG明朝B」というフォントを使用しました。
新聞の文字の形は横が1だとすると縦が0.8くらいという縦につぶれた文字です。実際のサイズで言うと、横が10.8pt(3.81mm)、縦が8.64pt(3.048mm)でしょう。先ほども言いましたが、新聞は「倍」という単位なので今挙げた数字は正確ではありません。(「倍」は1インチの88/1000という何とも言えないものらしいです。mm換算すると1倍=2.2352mm)
新聞の縦につぶれた文字を真似して、単純に比率を変えてしまうと、明朝体の横線(横画というそうです。)が通常より細くなります。
それでは「見よう見まねでつぶしてみた感」が出てしまうので、横画を通常の太さに戻すため若干太字にします。その際、書体の太字を選んでしまうと、同じように「つぶしてみた感」が出てしまいます。
そこで、専門的な話ですがイラストレーター等のストローク(縁どり)で対応すると、横画は元の太さになり、縦線は少しだけ太くなる程度に抑えられます。そのため、不自然なつぶしてみた感がなくなる訳です。
写真
報道写真は新聞を彩ります。報道写真は時代を反映します。人々にとって物事のイメージとして焼き付いているのはいつも報道写真です。
そんな報道写真の特徴を考えてみました。
・コントラストが高い
・縦横比は決まりがない
・被写界深度が深い
です。
コントラストが高い
報道写真は、元々色がついている新聞紙に印刷されます。なので、コントラストを高めて、はっきりと印刷する必要があります。また、人を写す場合コントラストを高めることで、表情が伝わりやすい写真になります。(顔の凹凸やしわが強調されます。)そのことから新聞の写真はコントラストが高く仕上がっているのでしょうね。
縦横比に決まりがない
カメラはセンサーやフィルムの種類によって縦横比は変わります。しかし、その種類とも報道写真は関係がありません。それは、新聞は紙面上のレイアウトに大きく影響されるからでしょうね。
被写界深度が深い
新聞の写真は物事をはっきり写す必要があります。背景がボケた狙った写真より、背景までしっかりピントの合ったくっきりした写真のほうが報道という特性上好まれるのでしょうね。
と「でしょうね」3連発です。あくまで想像ですので、ご参考程度に。
レイアウト
新聞のレイアウトは独特です。一面に情報がびっしりと詰め込まれています。
大きな見出しや写真を避けて文章が配置されます。
もし、これがグリッド上にきれいに整列されていたら新聞らしさが薄れてしまいますね。
文字に関しては、新聞は10文字~12文字で次の行に行きます。これを「段」といいます。また、この段を視覚的に表している線があります。この線によって文章を追いやすく読みやすくしています。
その他事務的なもの
その他事務的なものと言われてもいったい何か分かりませんが、要は、新聞の上部にある細かい表示や、印刷関係のマーク類等です。これらを取り入れると、ディティールが増し、より新聞らしさが出ます。
ではどのようなものがあるのでしょうか。
著作権表示やプリントマークなどよく見ると様々ありますね。真似して配置するだけで、ディティール感が増しますね。
紙
新聞の紙は「更紙(ざらがみ)」と呼ばれるものです。独特な色の紙です。
これに印刷することで素材から新聞らしさが出ます。ただ、この紙は一般的に流通していないため入手は手間です。また、紙自体は薄く強度もないため、家庭用のプリンターでは印刷が難しい印象です。そのため、「新聞紙のようなコピー用紙」を使用します。
探してみると「タブロ」という用紙が見つかりました。新聞に似せた質感の用紙です。新聞より厚く取り扱いやすい紙です。
では、以上の事を踏まえて新聞のようなものを制作しました。
トップの絵にもありましたが、令和が施行されたことに対しての新聞です。令和元年記念です。
新聞の「題字」です。この新聞は「全白新聞(ぜんしらしんぶん)」という架空のもので、全国シラスサラダ協同組合連合会(以下、全シ協連)という架空の業界団体が発行しているという設定です。
題字の背景は全シ協連にちなんで、しらすがたくさん描かれています。
今回は新元号「令和」が発表された際の報道写真を真似して撮ってみました。それっぽい背景と令和の書とそれを持っている腕の合成写真です。
まず、令和の文字を一生懸命トレースしたものを印刷します。そして画用紙で額のようなものを作ります。
スーツに着替えて撮ってみました。
背景を透過処理して色味など替えます。
それっぽい背景を作成し、合成しました。
見出しです。
このような"特に"強調された見出しの事を「カット見出し」と言うそうです。今回は黒色で締めてみました。でかでかとした明朝体がかっこいいですね。
ここまで大きくすると号外っぽいですね。
せっかくなので印刷データを配布します。
最後に
今回は新聞を真似してみました。
せっかく令和が始まるので記念として令和初日に記事を投稿したいなと思いました。そこで、先日、久しぶりに実家に帰ると、令和が発表された時の号外を見つけました。
今の時代、号外が報道のツールではなく、記念品となっていることに時代の流れを感じました。そこで、「じゃあぼくも記念品でも作ってみようかな」と思い立ち、号外から派生して新聞を作ってみようかなと思ったのがきっかけです。
元々は、単純に新聞のようなものだけを作る予定でした。しかし、作る際に参考として様々な新聞を読んでみますと、たくさんの発見がありました。せっかくなのでその発見を共有したいなと思い、今回の記事のようになりました。
今後新聞を「作りたい」と思っている方、「作ってみたけど、新聞っぽくならないな。」とお悩みの方へ少しでもお役にたてたら嬉しく思います。
新聞づくり楽しいですよ。皆様もぜひ。
おわり